一口にアパレル業界と言っても、様々な業態や職種があります。
そのため、アパレル業界への就職や転職を検討している方は、業態や職種による仕事内容の違いなどを十分に理解しておくことが重要です。
この記事では、アパレル業界への就職や転職を検討している方のために、アパレル業界の概要やアパレル業界で活躍する主な職種の仕事内容について解説しています。
また、アパレル業界の現状と将来性、志望動機の例などもご紹介いたしますので、ぜひご覧ください。
アパレル業界とは、衣料品のデザインや製造、販売といった、衣料品を取り扱う業界のことです。
アパレル業界には、
・SPA（製造小売業）
・メーカー
・販売代行
といった業態の企業があります。
SPAとは、卸売りをせず自社で企画やデザイン、製造、販売を一貫して行う業態であり、「ユニクロ」「GAP」「ZARA」などファストファッションの企業が多いです。
SPAは、自社の店舗から市場ニーズを直に汲み取ることができるため、消費者のニーズをいち早く商品化することができます。
また、自社で企画から製造販売まで行うSPAは、商品の企画開発に関して販売員からのフィードバックを重視しているため、能力次第では販売員から商品企画に抜擢されることもあります。
メーカーは、衣料品の企画・製造・卸売りを行う企業のことで、メーカーが作成した商品は百貨店や量販店などで販売されます。
近年では、SPAの台頭により、アパレルメーカーでもSPA部門を新設する企業が増えつつあります。
衣料品の企画や製造、卸売りを行うメーカーは、作り手としてアパレル業界に携わることができるため、大きなやりがいを得られるでしょう。
販売代行は、メーカーから店舗での販売業務を委託されている企業のことです。
販売代行のビジネスモデルは、
・メーカー⇒テナントや商品を用意
・委託先⇒販売員の採用・教育・管理や店舗運営
分業の形式となっています。
接客のプロが販売を行うため、売り上げの向上や育成のコストを削減することができます。
また、販売代行は「メーカーの代わりに商品を売ること」が仕事であるため、売上が良いほど報酬も高くなります。
アパレル業界には、
・デザイナー
・パタンナー
・バイヤー
・MD（マーチャンダイザー）
・販売員
などの職種があります。
各職種の仕事内容を把握し、アパレル業界への理解を深めていきましょう。
ニーズやトレンドを調査し、衣料品の企画・デザインを行う仕事です。
具体的には、
・商品企画
・デザイン画のスケッチ
・素材選び
・縫製仕様書の作成
・サンプル確認
・コスト交渉
といった業務を担当しています。
デザインの知識やスキル、センスはもちろんのこと、ターゲット層やテーマを定める企画力も求められます。
デザイナーの描いたデザイン画からパターン（型紙）を起こす仕事です。
具体的には、
・パターン作成
・トワルチェック（仮縫い）
・工場へ送る仕様書の作成
・サンプル確認
・コスト交渉
・納期管理
などを担当しており、デザイナーと二人三脚で仕事を進めていきます。
パタンナーは、デザインの正確な表現と着心地の良さを両立させなくてはならないため、服飾の知識やパターン作成のスキルが欠かせません。
また、デザイナーの意図を読み解く能力や正確性も求められます。
自社で売れる商品を見極めて買い付け、販売まで管理する仕事です。
具体的には、
・市場やトレンドの情報収集・分析
・商品選定や交渉
・買い付け
・販売管理
などの業務を担当しています。
商品の買い付けは、販売計画や市場調査にもとづいて行うため、情報収集力や分析力が求められます。
また、生産元と価格交渉を行うための交渉力や、各地を飛び回るタフさ、豊富な商品知識も必要です。
様々な情報をもとに、商品企画から販売計画、予算・売り上げを管理する仕事です。
具体的には、
・市場やトレンドの調査・分析
・売上分析
・予算管理
・生産計画
・販売計画
・商品価格の設定
などを担当しています。
商品や品揃え、陳列、プライスなど顧客が満足するよう、商品企画や数字のコントロールを行うため、企業の利益に直結するポジションです。
アパレル業界への深い知識や分析力、コミュニケーションスキルが求められます。
自社ブランドの商品をお客様へ提案する接客・販売の仕事です。
販売員は、
・接客
・在庫管理
・検品
・ディスプレイ（商品のレイアウトなど）
・顧客管理
などを担当しています。
自社ブランド・製品への理解やファッションセンスはもちろんのこと、コミュニケーションスキルやチームワーク力が必要です。
直近のアパレル業界では、
・フォーエバー21撤退（2019年）
・バーニーズNY破綻（2019年）
・レナウン破綻（2020年）
・オンワードホールディングス大量閉店（2020年）
といった、有名アパレル企業に関する衝撃的なニュースがありました。
これは、ファストファッションやフリマアプリの台頭によって、消費者の価値観の変化やネット通販（EC）を利用する消費者が増加したことなどが挙げられます。
| 分類 | 2018年 | 2019年 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 市場規模 （億円） |
EC化率 （%） |
市場規模（億円） ※下段：昨年比 |
EC化率 （%） |
||
| ① | 食品、飲料、酒類 | 16,919 (8.60%) |
2.64% | 18,233 (7.77%) |
2.89% |
| ② | 生活家電、AV機器、PC・周辺機器等 | 16,467 (7.40%) |
32.28% | 18,239 (10.76%) |
32.75% |
| ③ | 書籍、映像・音楽ソフト | 12,070 (8.39%) |
30.80% | 13,015 (7.83%) |
34.18% |
| ④ | 化粧品、医薬品 | 6,136 (8.21%) |
5.80% | 6,611 (7.75%) |
6.00% |
| ⑤ | 生活雑貨、家具、インテリア | 16,083 (8.55%) |
22.51% | 17,428 (8.36%) |
23.32% |
| ⑥ | 衣類・服装雑貨等 | 17,728 (7.74%) |
12.96% | 19,100 (7.74%) |
13.87% |
| ⑦ | 自動車、自動二輪車、パーツ等 | 2,348 (7.16%) |
2.76% | 2,396 (2.04%) |
2.88% |
| ⑧ | 事務用品、文房具 | 2,203 (7.57%) |
40.79% | 2,264 (2.76%) |
41.75% |
| ⑨ | その他 | 3,038 (9.31%) |
0.85% | 3,228 (6.26%) |
0.92% |
| 合計 | 92,992 (8.12%) |
6.22% | 100,515 (8.09%) |
6.76% | |
参考：経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果」
「衣類・服装雑貨等」のEC市場規模をみてみると、
2018年⇒1兆7,728億円
2019年⇒1兆9,100億円
であり、大幅に増加していることから購入経路の変化が伺えます。
ECサイトというと、これまではZOZOTOWNやAmazonのような、ECモールへの出店がメインでした。
しかし、購入経路の変化や新型コロナウイルス感染症などにより、今後は自社サイトを充実させ、実店舗とECを連携させる「オムニチャネル化」が重要となってきます。
オムニチャネルとは、実店舗やECサイト、SNSなど複数の経路を結び、消費者の都合に合わせて購入・受取ができるようにする販売戦略のことです。
実店舗の大量閉店を発表したオンワードホールディングスでは、今後の戦略について、「実店舗は複数のブランドを集約させた売り場にし、ECと連携したオムニチャネルに注力する」としています。
また、少子高齢化が深刻な日本では、市場が縮小傾向にありますが、アジアは経済発展が進み、生活レベルも上がってきています。
そのため、海外向けのECサイト（越境EC）で新たな販路獲得に乗り出す企業も増えています。
ここからは、アパレル業界を志望される方のために、就職活動でも頭を悩ませる志望動機の作成について紹介します。
志望動機を作成する際は、
・重要度の高いものから書く
・エピソードや具体例を書く
・ブランドの魅力は自分の言葉で書く
ことを意識しましょう。
その上で「なぜ、その企業・ブランドなのか」「入社したら何をしたいのか」を具体的に書くことが重要です。
【例文1】アパレル経験なし
学生の頃、貴社の○○で洋服を購入したのがきっかけで、ファッションに興味を持つようになりました。
さりげなく流行を取り入れたデザインと、機能性を重視した洋服づくりに強い感銘を受けました。
また、小物やクッション、ベッドカバーなどのファブリック製品に至るまで、世界観が統一されており、「常におしゃれを楽しみたい」というニーズを的確に捉えていると感じています。
アパレル業界で働いた経験はありませんが、貴社ブランドへの愛着は人一倍強く、コンセプトも深く理解しております。
貴社ブランドの良さを一人でも多くのお客様に実感していただけるよう、親切・丁寧な接客を行って参ります。
アパレル業界の経験がない場合は、「なぜアパレル業界で働きたいのか」を記載すると、熱意が伝わりやすくなります。
また、ブランドの特徴や商品を具体的に書くと、志望度の高さや愛着の強さをアピールできます。
【例文2】アパレル経験あり
以前から、貴社の前衛的なデザインと挑戦的な世界観に強い魅力と、接客レベルの高さに感激しておりました。
この度、転居に伴って退職することになったため、ぜひ貴社で働かせていただきたいと思い、応募いたしました。
以前の職場では、接客販売のほかにVMDの勉強をして店頭ディスプレイを工夫した結果、ディスプレイ商品の売り上げを○％伸ばすことに成功いたしました。
前職で培った経験を活かして貴社へ貢献し、将来は店長としてより魅力的な店舗を作っていきたいと考えております。
アパレル経験のある人は、前職での経験やスキルを具体的な実績と併せて記載しましょう。
キャリアパスを書くと意欲のアピールができます。
ご紹介したように、アパレル業界には様々な業態・職種があります。
華やかな業界ゆえに就職希望者も多いため、志望する企業や職種についてしっかりと把握し、自分なりの言葉で志望動機を伝えることが重要です。
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