バイヤーと言えば、商品の買い付けや仕入れを行う職種のことですが、業界によってその業務内容は異なります。
今回は、業界によって異なるバイヤーの種類と、それぞれの仕事内容について詳しく解説していきます。
一口にバイヤーと言っても、具体的な業務内容によってはいくつか種類があり、”仕入れバイヤー”、”直接材バイヤー”、”間接材バイヤー”、”原料バイヤー”と、仕入れる商材や業務範囲によって4種類に分けることができます。
それぞれの特徴について紹介します。
仕入れバイヤーとは、流通業などにおける仕入れ担当者のことです。アパレルショップや小売店で売るための商品を探し出し、交渉して買い付けるのが大まかな仕事内容となります。扱う商品や金額は業態によって異なり、衣料品や食料品、雑貨などさまざまです。
近年、仕入れバイヤーは実店舗を有している企業だけでなく、通販サイトやネットショップを有している企業など、インターネット上にも活躍の場を広げています。
また、働き方も多様化してきており、必ずしも企業勤めの仕入れバイヤーばかりではなく、フリーランスとして活躍する人も増えてきています。
フリーランスのバイヤーに興味のある方は「フリーランスや副業でバイヤーをやっていくには？」をご覧ください。
直接材バイヤーとは、製造業などで活躍する資材調達担当者のことです。
直接材とは、企業で扱う商品の構成部品のことであり、生産に直結する資材や部品を指します。例えば自動車の場合、ボディー、エンジン、タイヤ、椅子、モニターなどがそれにあたります。
"必要なものを"、"必要なときに"、"必要な量だけ"、調達することが求められる直接材バイヤーの仕事は、企業活動において欠かせない重要な業務です。また、"高品質なものを"、"安定的に"、"できるだけ安く"、調達するという観点も非常に大切です。
直接材バイヤーは、企業の”調達・購買部門”といった専門部門に所属し、業務を担当します。
間接材バイヤーも、直接材バイヤーと同じく製造業などで活躍する資材調達担当者のことですが、直接材バイヤーとは、仕入れるものに違いがあります。
商品の製造に関する仕入れを行う直接材バイヤーに対し、間接材バイヤーは、”会社を運営していくために必要な仕入れ”を行います。工場であれば設備や電力、塗料など、事務所であればパソコン、机、文房具、メンテナンス、電話代といったものが例に挙げられます。
また、間接材バイヤーは仕入れの業務だけに限らず、出張費やコンサルタント費の管理など、経理としての役割を担うケースもあるため、取り扱う範囲は非常に広いといえます。
間接材バイヤーは、企業の”調達・購買部門”の間接材グループといった大きな部署に所属し活躍するケースもあれば、総務部門（メンテナンス）、情報システム部門（システム開発）など部署ごとに配属され、部署専属の間接材バイヤーとして活躍するケースもあります。
原料バイヤーとは、さまざまな工業製品の原材料（原料や材料）になる資源を仕入れる人を指します。原料とは、鋼材や非鉄金属、原油、石炭、木材、飼料、小麦、レアアースといったものです。
これらの原材料から、さまざまな工業製品や電子機器、食料などが生み出されるため、良質なものを選定する必要があり、企業にとって非常に重要な業務となります。
原料は市場価値の変動が頻繁であり、場合によっては先物予約取引といった手法を駆使するなど、原料バイヤーには価格変動リスクを回避する力が強く求められます。
原料バイヤーは、直接材バイヤーや間接材バイヤーと同じく、企業の"購買部門"に所属し業務を担当するのが一般的です。
アパレルバイヤーは、4つのバイヤーの種類の中でも”仕入れバイヤー”に属します。
仕入れる商品は、服や靴、バッグ、生地などブランドによってさまざまですが、どのような商品が売れそうかを見極めることがアパレルバイヤーには求められます。そのためには、ブランドコンセプトの正しい理解とトレンドを察知する能力が必要です。
また、アパレルバイヤーは自分のセンスで仕入れるのではなく、マーケティングリサーチを行った上で得られた、具体的な根拠に基づき仕入れを行わなくてはいけません。このように、アパレルバイヤーには市場ニーズを的確につかむ力も求められます。
アパレル業界の中でも”花形”といわれるバイヤーの仕事には、多くの人が憧れを抱きます。
ただ、一口にアパレルバイヤーといっても、働く場所によって仕事の内容が変わりますので、自分が活躍したい場所はどこなのかを見極めることからはじめましょう。
大手セレクトショップのバイヤーは、ショップで販売する商品の買い付けがメイン業務となります。買い付け先は国内にとどまらず、世界中の展示場やファッションショーへも足を運び、魅力的なアイテムを探し買い付けます。
大きなブランドやショップでは、取り扱う商品の種類や数が膨大になることから、複数のバイヤー、そしてマーチャンダイザーとチームを組んで仕事を進めていくのが一般的です。
マーチャンダイザーの仕事について詳しく知りたい場合は「MD（マーチャンダイザー）」をご覧ください。
百貨店や小売店のバイヤーは、ファッションに限らず、家具や食品、雑貨など多種多様な商品を取り扱います。
担当の売り場について市場調査や売上データを分析し、どのような商品ラインナップにすれば売れるのかを考えた上で買い付けを行い、売り上げアップにつなげます。
大企業と中小企業など、企業規模によってバイヤーの仕事内容や役割が変わってくるケースもあります。
大企業の場合
良い商品を買い付けるには、商品に対する幅広い知識と良質なものを見極めるための経験が必要です。
そのため、大企業では、入社後、まず販売職を経験させ、その後アシスタントバイヤーとし、最後にようやくバイヤーへとステップアップさせるという方式を取るケースが多くみられます。
中小企業の場合
中小企業においても、大企業と同じく販売職を経験させた後アシスタントバイヤーとし、バイヤーへとステップアップさせる方式を取るケースがありますが、一方で人員数に限りがあるなどの理由から、即戦力のバイヤーとして活躍させるケースもあります。
また、中小企業の場合は、大企業と比較して一人のバイヤーの業務範囲が広くなる傾向があります。
例えば、売れる商品を仕入れるバイヤーの仕事と、販促活動やマーケティングにも深く携わるマーチャンダイザーの仕事を兼務するといったことです。
ちなみに、個人店のような小規模店舗の場合は、当初はオーナーの買い付けに同行するなどアシスタントとしての役割を担いますが、慣れてきたらオーナーに代わりバイヤーとしての仕事を一任されるケースもあるようです。
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