普段耳にすることも多い「PR」という言葉ですが、正しい意味をご存じですか？
実は「PR」という言葉は、誤認識の多い言葉としても知られており、正しい意味を理解している方は意外と少ないです。
今回は、PRの意味や重要性、種類について掘り下げていきます。
PRという言葉には、どのような意味があるのでしょうか。
PRとは「パブリックリレーションズ(Public Relations)※」の略で、下記のような意味を持っています。
※【パブリックリレーションズ】
組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団)との望ましい関係を創り出すための考え方および行動のあり方である。
日本パブリックリレーションズ協会より一部抜粋
解説すると、PRとは「良好な関係性の構築」という意味になります。
PRとよく似た言葉に、「プロモーション（販促活動）」という言葉があります。
「PR＝プロモーション（販促活動）」と同じ意味として扱われていることがありますが、これは間違いです。
プロモーション（販促活動）とは、その名の通り“販売を促進するための活動”のことであり、その目的は「売上の増加」などです。
対して、パブリックリレーションズ（PR）は“良好な関係性の構築”が目的であり、「企業や製品に対する正しい理解」であったり、「適切な情報の共有」であったりします。
つまり、ある企業が「テレビCMを使って、新商品を紹介するのはプロモーション（販促活動）」で、「チャリティイベントを開催し、社会貢献するのはパブリックリレーションズ（PR）」ということですね。
近年PRに力を入れる企業が増加していますが、なぜ重要視されているのか見ていきましょう。
商品やサービスを提供する際、機能や価格が消費者のニーズに合致していたとしても、選ばれるとは限りません。
例えば、同じ様な商品が並べられていたら、認知度の低いメーカーの商品よりも、有名な企業の商品を選ぶことが多いですよね。
これは、提供している企業やサービスに対して、消費者が“信頼”や“親しみ”を感じていないからです。
企業の開発力に差がなくなってきたとされる現代では、消費者から選ばれるために、認知度や親和性を高める必要があるため、PRが重要なのです。
また、近年は個人情報の取り扱い強化や、法令の遵守など、倫理的な行動を企業に求める傾向が強くなっています。
そのため、このような取り組みが企業イメージに直結するようになり、PRの重要性はさらに増しているのです。
PRは主に、マスメディアを使った手法、インターネットメディアを使った手法、現実世界での手法に大別されます。
ここでは、それぞれの手法について詳しくご紹介しています。
マスメディアは「テレビ」「新聞」「雑誌」「ラジオ」を指し、信頼度が高いという特徴があります。
メディアで紹介されれば大きな反響を得られますが、企画や制作など、掲載までに時間や費用が掛かります。
ニュースやテレビ番組などの1コーナーで紹介されるPR方法です。
公共性の高いメディアを使って一般に広くアピールできるため、放映後は絶大な反響を得ることも多く、「メディアの王様」と言われています。
しかし、視聴者が興味を持つようなインパクトのある企画でないと、制作サイドに採用されないことも多々あり、その特異性から最も難しいPRとも言われています。特に、プレスリリースのような文字情報が主体となるものは、テレビPR向きではありません。
商品やサービスなどを記事内で取り上げてもらうPR方法です。
最も古い歴史を持つ新聞は、非常に社会的信頼度が高いという特徴を持ちます。
記事内で商品やサービスを取り上げてもらうことができれば、「公的メディアが認めている」という安心感を与えられ、大きな反響を得られます。
また、地方紙、全国紙、業界紙などの種類があるため、ある程度ターゲットに合わせたアピールが可能です。
年齢や性別、趣味、ライフスタイルなど、読者層が細かく固定されているため、効果的にアピールできることから、ターゲットメディアとも言われています。
新聞と同様、記事内で取り上げてもらうPR方法ですが、ターゲットへピンポイントに訴求できるため、ターゲットが明確な場合、非常に高い効果を得ることができます。
しかし、雑誌や新聞といったメディアでは編集者が主導権を持つため、記事内で取り上げられるハードルは高めと言えるでしょう。
ラジオは番組や時間帯によってリスナー（ラジオを聞く人）が固定されやすい傾向にあります。
例えば、朝は通勤中のビジネスマン、昼は運送業や主婦層、深夜は若年層など。
また、地域ごとにラジオ局があるため「特定の地域に住む主婦層」など、ターゲットを絞ったアピールも可能です。
テレビよりも母数は少ないですが、ターゲットを意識した時間帯にPRするなど、やり方次第では高い費用対効果を生み出せます。
インターネットは世界中の人に向けてリアルタイムに情報を発信でき、その情報をSNSなどで拡散させることも可能という、他のメディアにはないメリットがあるのです。
インターネットメディアの特性を活かしたPRに注力する企業も多く、インターネットを活用した広告市場は拡大傾向にあります。
情報の発信元となる記事が掲載されたメディアで、普段目にしているニュースなどは、この1次メディアが元となっていることもよくあります。
新聞社系や通信社系、テレビ系があり、公的情報源という位置づけのサイトが多いため、信頼性が高く、ユーザーの目に留まる数も多い傾向にあります。
企業が独自に運営するブログやFacebook、コーポレートサイトなどのメディアを総称してオウンドメディアと言います。
オウンドメディアは、企業や商品に対して好意的なユーザーと直接コンタクトを取れる点や、コスト削減になる点が大きなメリットです。
Yahoo!などのポータルサイトを2次メディアと言い、1次メディアで発信しているニュースなどを転載しています。
インターネットメディアの中で最も多く閲覧されており、年齢・性別問わず、広範囲に情報を発信することが可能です。
CGMは、食べログやクックパッドといった、一般ユーザーが情報を投稿することでサイトが形成されていくメディアのことを言います。
比較的安価な広告費で一般消費者と直接コンタクトを取れるため、注目が高まっているメディアです。
ウィルスのように拡がることからバイラル（ウィルス性の）メディアと名付けられました。
TwitterやFacebookといった、SNSで拡散されるようなコンテンツを集めたBUZZFEEDなどがバイラルメディアです。
インパクトが大きいほどアクセスを集めやすくなり、商品やサービスを広く知ってもらえますが、高齢者へのアプローチが苦手という側面もあります。
ソーシャルメディアとは、情報を発信する側と受け取る側が繋がっているメディアで、「ブログ」「SNS」「動画」に分けられます。
広告経由で商品が売れたら報酬が発生する「アフィリエイト広告」や、クリックされたらあらかじめ設定していた料金を支払う「クリック課金型広告」など、さまざまなタイプの広告があります。
利用できる広告の種類や費用は、各サイトによって異なりますが、コストを抑えてスタートすることが可能です。
・ブログ
企業や個人が日常の出来事や、関心ごと、最新情報などを投稿できるサービスで、アメーバブログなどがあります。
・SNS
Twitter、Facebook、Instagramなどに代表されるようなSNSサイトは、会話や情報交換といった双方向のコミュニケーションが活発に行われています。また、SNSは「シェア」や「いいね！」が多くなるほど拡散されるため、SNSきっかけで話題となった商品やサービスは多数あります。
・動画
You Tubeやニコニコ動画などに代表される動画共有サイトです。
映像とテキストで多様な情報をスムーズに伝えることができ、テレビよりもコストを抑えられるため、PR動画を作成する企業が増加しています。
メディアを使ったPRだけではなく、現実世界（リアル）での手法も近年では注目されています。
例えば、エナジードリンクのメーカーが様々なスポーツイベントを開催したり、飲料メーカーが植樹や山林保護活動を行ったり、重機メーカーが新興国の開発事業を援助したりなども、PR活動の一環です。
これらの事業は、単に知名度を高めるだけではなく、企業の持つ考え方を世の中に発信、理解してもらい、社会との良好な関係を築いていきたいという思いがあるものと考えられます。
商品やサービスを選んでもらうためには、企業とマーケットとの「良好な関係性」が重要であることがお分かり頂けたと思います。
そのためには、ターゲットとなる人たちの心に届くようなメッセージや、相互にコミュニケーションが取れるようなメディアを利用してPRを行うことが大切です。
各メディアの特徴や利用者の傾向を把握し、それぞれに適したPR方法でユーザーとの良好な関係を作り上げましょう。
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