エンターテイメントやビジネスなど、さまざまな分野で活躍する翻訳家は、グローバル化が加速する日本で注目が集まっている職種の一つです。
翻訳家を目指す人にとって、収入は気になるポイントではないでしょうか。
今回は、翻訳家の給料や年収について、翻訳の種類、雇用形態、翻訳する語学の点からご紹介していきます。
翻訳家の年収は、翻訳の種類や雇用形態によっても変わりますが、翻訳家全体の平均年収は400万円~600万円程度です。
翻訳家は過去の実績やスキル、専門知識の有無、対応できる仕事量の違いなどにより、収入が大きく変わる職種です。
未経験で仕事が少ない場合や、副業として翻訳を行っている場合だと、年収100万円程度になることもあります。
一方、翻訳を本業とするベテラン翻訳家だと、年収が数千万円を超える方もいるため、非常に個人差が大きいです。
翻訳には『実務翻訳』『文芸翻訳』『映像翻訳』の3種類があり、どのジャンルの翻訳を行うかによっても、収入が変わります。
実務翻訳とは、一般企業や官公庁から依頼されるビジネス書籍や学術書、契約書、マニュアルなどのビジネスに関する文書を翻訳する仕事です。
実務翻訳では、医療や法律、金融といった間違いの許されない分野を扱うこともあるため、翻訳のスキルはもちろん、扱う文章に関する専門的な知識を持っている必要があります。
実務翻訳の年収は、どの分野を翻訳するかによっても変わりますが、300万円~500万円程度が平均です。
下記は、一般社団法人日本翻訳連盟が公表している翻訳料金(一単語当たり)の目安です。
翻訳の分野 | 英日翻訳(英文⇒和訳)の場合 |
---|---|
コンピューターマニュアル | 28円 |
一般科学・工業技術 | 28円 |
金融 | 30円 |
経営管理・財務・契約書 | 30円 |
医学・医療・薬学 | 35円 |
特許明細書 | 26円 |
参考:一般社団法人日本翻訳連盟「翻訳料金(クライアント企業の翻訳発注価格)の目安」
これによると、最も単価が高い『医学・医療・薬学』の分野では、1単語あたり35円となっており、高度な専門的知識が必要な分野である程、単価が高くなっていることが分かります。
仮に、医学の文書を1単語35円で、10,000単語翻訳した場合は35万円の収入になりますが、あくまで目安の金額なので、必ずしもこの通りの単価で仕事を受けられるとは限りません。
翻訳家の実力と交渉次第で1単語あたりの単価が変わるため、専門知識や得意分野を身につけ、実績を積んでいくと収入アップにつながります。
ジャンルに関わらず、英語を日本語訳する英日翻訳よりも、日本語を英語へ訳す日英翻訳の方が難しいため、高めの単価に設定されています。
外国語で書かれた小説や絵本、歌詞などを、翻訳する文芸翻訳の平均年収は480万円~800万円程度です。
文芸翻訳には、翻訳した原稿を出版社が買い取る『買い取り方式』と、印税を受け取る『印税方式』の2種類があります。
買い取り方式は発行部数などに関係なく、翻訳家へ報酬が支払われますが、出版物の人気が出て、ベストセラーになったとしても報酬が追加されることはありません。
印税方式の場合、出版物の本体価格×印刷部数×印税率によって計算され、報酬が決まります。
印税率は3%~8%が相場ですが、出版社や翻訳家のキャリアによって変わってきます。
(印税…書籍などを著作した人に対し、売り上げに応じた対価を支払うこと)
印税方式で契約した場合、翻訳した書籍の売れ行きが良いほど受け取る報酬も高くなり、ベストセラー作品ともなると、数千万円~数億円の収入を手に入れることも可能です。
文芸翻訳は、作品の世界観をきちんと理解し、独特の言い回しやスラング、時代背景についても詳しくないと、原作の魅力を十分引き出すことができません。
翻訳者の訳次第で、本の印象が大きく変るため、日本語の表現力が豊かな人でないと務まらない仕事です。
そのため、経験の少ない翻訳家に依頼が回ってくることはほとんどなく、実力を証明されているベテラン翻訳家に依頼されることが多いです。
また、実務翻訳に比べると需要が少ないという特徴があり、経験の少ない人にとっては厳しい世界と言えます。
海外ドラマや映画の翻訳を行う映像翻訳の平均年収は、480万円~600万円程度です。
しかし、経験豊富な有名翻訳家になると、高単価の翻訳依頼も多くなり2,000万円以上稼ぐ人もいます。
映像翻訳はフリーランスの人がほとんどで、経験や翻訳スピードなどスキルによって収入が大きく変わる世界です。
映像翻訳の案件は10分で8000円~数万円程度が相場で、経験や仕事の受注先によっても収入が変わります。
映像翻訳には、吹き替えと字幕があり、リップシンクと言われる、演者の口の動きに合わせて適切なワードを当て込む吹き替えの方が、字幕よりも単価が高く設定されています。
また、字幕の翻訳を行う場合、観客の読むスピードに合わせて字幕をつける必要があるため、決められた文字数の中で翻訳しなくてはなりません。
映像翻訳は書籍や文書とは異なり、読み返すことができないため、作品の世界観や役のイメージを守りつつ、一目見て内容やニュアンスを理解できるように翻訳をする必要があります。
こういった点に注意しながら翻訳していくので、わずか10分の映像を訳すだけでも1日仕事になることも多く、いかに大変な作業であるかが分かります。
セリフの少ない作品の翻訳であれば効率的に稼げるでしょうが、難しい内容の作品だと、「調べ物が多くなって割に合わない」というケースもあります。
翻訳家の働き方は、企業に勤務して働く方法と、フリーランスとして働く方法があります。
それぞれどのような違いがあるのか、見ていきましょう。
会社員として働く場合の年収は、300万円~600万円程度で、一般的な社会人と同じくらいか、若干高めの水準に設定されていることが多いです。
企業に所属して働く場合、翻訳以外の仕事と兼任しながら企業の社員として働いているケースが多く、会議や商談の通訳業務などを行うこともあります。
正社員や派遣社員など雇用形態はさまざまですが、フリーランスとは違い、毎月給料が支払われ、ボーナス、有給休暇といった福利厚生を受けられるため、安定的な生活を送れます。
また、企業によっては専門分野の知識を持っている人への特別手当や、勤続年数による昇給が期待できます。
しかし、翻訳者としての社員募集は少なく、「専門分野で3年以上の実務経験が必要」など、翻訳者としての経験値を要求されるケースもあります。
グローバル化の影響や貿易関連の仕事など、翻訳家の重要性は増していますが、正社員よりも派遣社員の求人が多いです。
貿易関係の会社や外資系企業など翻訳家の活躍の場は広く、グローバル化が進んでいることから、今後はさらに翻訳家の仕事が重要視されると考えられます。
フリーランスとして働く場合の収入は、200万円~500万円程度と言われていますが、少ない人では50万円以下、多い人では数千万円になることもあります。
翻訳の仕事は文字数×単価によって収入が変わるため、フリーランスで働く場合、仕事量によって個人差が出ます。
翻訳家は圧倒的にフリーランスが多く、本人のスキルや経験、仕事量によって収入が大きく変わります。
実務翻訳家などの専門知識が必要な分野では、需要も安定しているため、比較的収入が高い傾向にあります。
一方、文芸翻訳や映像翻訳では、新規参入が厳しい側面もあることから、経験が少ない人ほど単価も依頼案件も少ないため、年収100万円程度になる人から、1,000万円以上稼ぐ人気翻訳家もおり、個人差が大きい働き方です。
また、直接仕事を受けるのではなく、間に翻訳会社を挟む場合はマージンが発生するので、その分翻訳者の取り分が減ってしまうことも念頭に置いておきましょう。
フリーランスで活動する場合、翻訳家として成功した時は、会社員には想像もつかない程の高収入を得ることができますが、成功するには実績作りや翻訳スキルの向上、人脈作りも重要です。
翻訳経験が少ないうちは単価の低い仕事が多くなるため、最初は実績作りと割り切って経験を積んでいきましょう。
翻訳は言語によっても報酬が変わる仕事です。
英語が分かる人や、英語の翻訳家は増加しているため、英語を日本語訳する場合の単価は、ここ数年安くなっていますが、中国語やロシア語などの翻訳家は英語の翻訳家よりも少ないことから、高めに単価設定されている傾向にあります。
特に、ロシア語やドイツ語などのマイナーな言語は、英語の翻訳よりも2~3倍程度、単価を高く設定されているケースが多いです。
ただし、単価が高くても案件数が少ないということもあるため、収入が増えるかどうかは案件数次第です。
ちなみに、韓国語は英語の翻訳よりも低い単価を設定されていることがあり、韓流ブームで韓国語の翻訳者が増加したからではないか、と言われています。
今回は翻訳家の年収についてご紹介してきました。
翻訳家は、個人のスキルや経験、働き方などによって大きく収入が変わります。
実績を積んで翻訳スキルを向上させること、専門知識を持つことが、単価の高い案件を獲得し、収入アップにつながります。
また、翻訳の仕事は成果報酬なので、仕事量を増やすよう人脈作りも重要なポイントと言えるでしょう。
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